福島県にはお酒と縁が深い名字がある。
三瓶さんである。
現在では大半が「さんぺい」と読むが、もともとは「みかめ」と読むのが正しく、御瓶(みかめ)のことである。
御瓶とは瓶子(へいじ)ともいい神様に捧げる酒や水を入れる容器のこと。
水よりも御神酒をよく入れるので、さぞや三瓶さんのご先祖は酒好きだったんだろうな、と思われるかも知れないが、先祖代々一滴も酒を飲めない下戸の三瓶さんもいる。
なぜなら三瓶という名字は地名に由来するからである。
古代には全国に瓶子作りの職人が住む集落があった。
そういう土地は御瓶と命名される。
職人がいなくなっても御瓶という地名だけは後の世に伝えられ、そこに住み着いた人が御瓶という名字を名乗り、さらに三瓶と書き換えることもあった。
地名も御瓶から三瓶に変化してゆく。
愛媛県西伊市の三瓶(みかめ)町もそうだ。
福島県に住む三瓶さんもどこかの御瓶や三瓶という地名から名字をとった人々だ。
三瓶さんは家紋もお揃いで「三つ盛り瓶子」をよく使う。
福島県には二瓶(にへい)さんもいて、こちらは「並び瓶子」紋を愛用している。
三瓶さんも二瓶さんも戦国時代には武士だった家